民主共和国臨時政府執務室

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実践エースコンバット7批判


この調子で行くといつか『空戦力批判』を書きそうである。記事を3つまとめて三批判。しかし、前部から1年近く経っている。いいんだよカント先生だって純粋から実践に7年かけてんだから。





純粋エースコンバット7批判 - 民主共和国臨時政府執務室



『純粋』では大失敗などと大見得を切って世界観全体への見解を述べた(つもりではいる)が、ここではDLCも含めた7のストーリー自体について思ったところを述べてみる。『空戦力批判』はマルチで元帥にでもなったら書くんじゃねーの?(適当)





①聴覚



突然聴覚とかいう見出しを思いついたのでぼくにはコピーライターの才能があるかもしれない。





2019年、エルジア王国の流行語大賞は"Do you hear me?"で決まりだろう。訳語は「聞こえるかね」もしくは「聞こえますか」、どっちが誰の訳かは自明。





このゲーム内、ブレイズトリガーこと主人公は一切話さない。本来のエースコンバット的な主人公像を踏襲した感がある。本来エースとはこうあるべきなのだ。実力で敵をなぎ倒し、背中で味方を引っ張る。

本編中、味方同士の会話が非常に多い。相変わらず無駄口の多い小隊だな(ハートブレイクワン並みの感想)。しかし、これは単なるお喋りにとどまるものではない。当然前作までも会話はあった。しかも5とzeroは主人公までお喋りだった。 5以外の作品はもうしばらく触れてないので最早覚えてないのだが特に5では味方との会話がストーリー展開上の重要な鍵であった。なんなら返事の仕方でルートが分岐する。しかし、シナリオ中大半の会話は割とクッソどうでもいい雑談である。敵が多いだの陰謀がどうだの<<大きい……>>だのちったあ黙って飛べねぇのかよ。


しかし今作、味方の無線は(ゲーム機の進化というメタストーリーも相まって)以前よりもさらに煩さを増し、登場人物も格段に増えた。人物が多すぎて2週目始めて直後「ブラウニーってだれ…?」となったのはひみつ。





味方はどれだけ人数が増えても、好き勝手な会話をする。しかし、終盤に近づけば近づくほどある同じ話をしだすようになる。トリガーだ。









②トリガーという者




トリガーの経歴をおさらいしてみよう。

開戦直後は唯の一軍人。ある時「重大な罪」を犯したとして「監獄」へ送られ、後に「監獄」内での活躍が認められて別部隊の隊長に栄転。『トリガーについていけば生き残れる』とまで言わしめ、かつての歴戦のエースを撃ち破り第二次大陸戦争(灯台戦争)終結と人類の救済に大きな役割を果たした。




誤解を恐れずに言えば、これヒトラーとも似ているだろう。


ヒトラーを尊敬している訳でもなんでもないという事は確かに言っておく。因みにぼくが一番好きな同時代の政治家はフィンランド大統領リュティです(クソオタク)。だが、軍人上がりで一度「投獄」されながら復活して大人数を魅了し率いたという点、これはヒトラーもトリガーも変わらないといえるだろう。もっともヒトラーにとって人類を救うのは荷が重かった様だが。








問題は、トリガーがオーシア軍人だということ。オーシアはストレンジリアル世界の警察、現実世界でいえば完全に米帝アメリカポジションの国家である。民主主義と自由を世界各国に強制広めていくのを至上命題とし、海の向こうの大陸沖にでっけぇ軍事施設まで作っちゃう、マッシブでパワフルな超大国。そんなオーシアの一軍人が「ついていけば生き残れる」などと狂信的に慕われてる姿。

人類の歴史の中でも類稀な戦争を経験したことのない幸運な私には想像の付かない精神状態にはあったのだろうが、余りにも民主主義とかけ離れた存在ではないか。そうなればもう、オーシア帝国主義はお役御免。このことは後の世界、Ace3の世界観が現実のものとなることを暗示しているとも思えるのだが。



閑話休題。DLC4〜6弾のあのストーリーで、最終的にあのクソデカ潜水艦と戦闘機が一騎討ちというんなもん冷静に考えりゃありえねぇってのは製作陣も分かってるらしい戦いを乗り切った後で分かった事ではあるが、海底で2年を生き延びたクソデカ潜水艦アリコーンを率いるトーレス艦長とトリガーの差は、AI曰く「ついていった時生き残れる人数が多い」かどうか、だった。


そんなもんである。英雄と悪役は紙一重






もしトリガーの性格がトーレス艦長と同じだったら、オーシア空軍はどうなっていただろうか。興味深いテーマであるが酒で頭が回らないのでやめる。




さてそんなトリガーくん、最後の最後に無人機、AIに勝ってしまう。ハッピーエンドだろうか。









無人






トリガーが守った空、いや守ってしまった空は人が人を殺す空である。




無人機が今作のテーマというのは改めて述べる程の内容ではない。問題は人間との関わりだ。

年末年始の時期、イラン革命防衛隊の特殊部隊長が米軍の無人機により殺害されるという事があった。記憶にも(まだ)新しい。





現実世界もストレンジリアルも、ボタン一つ(あるいはタッチパネル一つ)で人間は簡単に物理的に死ぬようになった。非人道的だ。なら、原水爆は?化学兵器は?戦車や機関銃、そもそも戦闘機なんてものも含め、戦争の産んだ兵器は全て非人道的と主張するのが先決だろう。人間は人を殺す道具を作るのに関しては他の動物より何倍も賢い。



あるブレイクスルーが登場すれば、当然それに対応する物が登場するのは歴史の必然である。もし無人機が落とされなければ、終戦後オーシアは(エルジアで「ペーパークリップ作戦」を実施した後)技術を総動員して無人戦闘機の開発に乗り出すに違いない。ユークトバニアもそうだったであろう。しかし、トリガーは最後の最後で無人機を落とした。周りにおだてられて。

無人機同士が飛び交い、血の流れない間に決着がつく空戦が現実のものとなる可能性をつぶしてしまった。少なくとも、遅めた。




人間は、「共通の敵」が無ければ団結はできない。共通の敵である無人機が落とされてしまった。さて、人間は殺し合いをやめることが出来るのでしょうか、というお話。







おわりに



スクリームめっちゃ好き(性癖)。以上。



あと頭からやり直して気付いたんですが、ハーリングを「墜とした」時、The Unsung Warのフレーズが聞こえるのがよかったです(KONAMI感)。まあNAMCOなんですけどね〜大蛇丸