民主共和国臨時政府執務室

Willkommen im Büro der Provisorischen Regierung der Demokratische Republik!

考え得ることは存在し得る。


ボロめのアパート。玄関入って正面がキッチン、すぐ右手に居室。ブラウン管のテレビ。ジャニーズ系の男。これからタイムトラベルをする。不意に台所に立ってコンロに点火したので覗き見するも「大丈夫だからほっとけ」と言われる。ぼくは居室に戻らされて電気を消す。ガスコンロに火を点けるとあり得ない形に広がり、男の着けているベルトのバカでかいバックルが熱せられて白いシャツにまで燃え広がりそうになる。そのまま何秒か経つとタイムトラベルできるそうだ。ブラウン管テレビでは某公共放送の災害緊急番組の様なテロップ。テレビが点いたままのためか、「誰かが後ろにいてタイムトラベルできない」。
そういえばぼくもタイムトラベル帰りだった。2015年の日本橋で「家系のまぜそば」を父親のような人と食っていた。いや、この風貌は2015年にしては若すぎだ。街の雰囲気もどことなく昭和な感じがする。それにしても、この店はもうすぐ潰れるようだ。ぼくらは最後の客だ。2枚綴りの小さい券をもらう。1枚渡すと四角いチャーシューを切ってくれた。